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2019.10.19

卵巣腫瘍について

横浜市の田渕レディスクリニックです。
今回は卵巣腫瘍についてお伝えします。

◆良性と悪性、種類や大きさも様々

卵巣は本来の大きさはウズラの卵ほどの大きさですが、なんらかの原因で腫れて大きくなってしまったものを卵巣腫瘍といいます。卵巣は体の中でもさまざま種類の腫瘍ができます。
卵巣腫瘍は大きくのう胞性と充実性の2種類に分けられ、その内のう胞性の腫瘍である卵巣のう腫に属するものが多く、全体の9割を占めています。また、卵巣のう種は多くの場合は良性ですが、逆に充実性腫瘍の約8割が悪性になります。
いずれの場合も自覚症状が出にくいため、ご自身での早期発見がむずかしく、また腫瘍が良性か悪性かの識別、悪性化への予測がつきにくいといった面から、内診や触診、超音波断層撮影、腫瘍マーカーなどによって良性・悪性の識別を行い、最終判断には腫瘍を切除してその組織を調べる必要があります。
卵巣のう腫は、内部に液体がたまり、ブヨブヨとしているのが特徴で、のう腫内の内容物によって3つの種類に分けられます。
●漿液性のう腫
卵巣のう腫の中でもっとも多く、無色または黄色がかった透明な液体が入っている。鶏卵大ほどの大きさで、多くは良性であるが、それ以上の大きさになると悪性になる場合も。
●偽ムチンのう腫
粘り気のある液体が入っており、これも良性が多い。のう胞が破れると腹腔内にこの液体を分泌する細胞が広がってしまう。
●皮様のう腫
ドロドロとした皮脂分泌物が入っており、中には髪の毛や歯、骨、皮下組織、筋肉、脂肪などが含まれている。多くは良性である。

充実性腫瘍の種類
充実性腫瘍はかたいコブ状の腫瘍で、悪性型、中間型、良性型の3タイプに分かれます。
●悪性型
いわゆる卵巣がんのことで、充実性の多くがこの悪性型になります
●中間型
基本的には良性なのだが、ときに悪性に変化するがあり、楽観できない
●良性型
悪性の多い充実性の中でも、ごくまれに良性のものがある

◆症状

腫瘍が小さいうちはほとんど症状らしい症状はなく、こぶし程度の大きさになって初めて症状が出てくることがあります。卵巣のう腫の場合、のう腫の成長にともなって卵巣が大きくなると、横になってわき腹をさわったときに、しこりを感じることがあります。また、周囲の臓器が刺激を受けたり圧迫されたりするために、腹部の圧迫感、下腹部の膨満感や痛みを感じたり、月経痛や月経周期異常、排尿障害、腰痛、便秘などが見られます。さらにのう腫が巨大化すると、栄養障害を引き起こして体重が減少する場合も。

◆治療

良性と悪性との識別がしにくく、腫瘍がある程度大きくなると、卵巣が根元からねじれてしまう茎捻転を起こす可能性もあるため、発見された場合にはすぐに手術を行い、摘出します。とくに悪性のものが多い充実性腫瘍の場合は、速やかな手術が求められます。
良性腫瘍の場合は、腫瘍のみの摘出になりますが、腫瘍がかなり大きくなっている場合には、卵巣ごと摘出しなければならないこともあります。
悪性の場合には、腫瘍のある卵巣だけでなく、もう片方の卵巣や子宮、卵管なども取り、抗がん剤での化学療法を行う必要があります。

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